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従来より、材質的に高い市場評価を受けてきた「とちぎ材」。 原木の用途では、9割強が建築用材として活用されています。
しかし、横架材や特に梁桁材においては、まだまだスギが使用されるケースが少ないのが現状です。
横架材は、鉛直荷重や水平荷重を負担するため、明確な強度性能を有している必要があります。
栃木県林業センターでは、建築基準法や品確法に対応できるよう実木材試験に基づき強度性能を明確にし、構造計算資料としての「横架材スパン表」を作成しています。

スギKD柱材の強度性能

曲げ性能

  • ※試験方法:財団法人日本住宅・木材技術センター「構造用木材の強度試験法」に準拠し試験
  • ※3等分点4点荷重法(スパン=梁背×18倍)

座屈性能

  • ※上下支点間長=3m

引張性能

  • ※試験方法:財団法人日本住宅・木材技術センター「構造用木材の強度試験法」に準拠し試験
  • ※チャック間の距離=梁背×9倍

※試験材については、特に選別を行わず、KD特等3m柱材を使用しました

スギKD平角材の曲げ性能

試験前

破壊状況

  • ※試験方法:財団法人日本住宅・木材技術センター「構造用木材の強度試験法」に準拠し、3等分点4点荷重法による、実大材曲げ破壊試験
  • ※試験法に基づき、曲げヤング係数は標準スパン条件に、曲げ強度は標準寸法及びスパン条件に調整
  • ※L,Sは、試験法に基づき許容範囲内で設定

TOPICS

最大荷重の単位「kN」ってどのくらいの荷重?

まず、kgとNの関係は、1kg≒9.8N、1000kg(=1t)≒9800N=9.8kNとなります。
したがって、梁背330mmの試験結果の最大荷重95.64kNをトンに直してみると、9.76tとなります。
例えば、上の表にある梁背240mmの平角材の平均最大荷重は、63.94kN=6.5tとなるので、乗用車1台を約1.6tとすれば、乗用車4台分以上の荷重を支えられるということになります。

とちぎ平角材の曲げヤング係数の出現頻度

曲げヤング係数(MOE)

日本建築学会「木質構造設計規準・同解説」普通構造材に該当する、6.8kN/mm2以上が、全体の約80%を占めました。
また、下限値5.9kN/mm2以上を示す、JAS E70以上が約95%を占めました。

とちぎ平角材の曲げ強度の出現頻度

曲げ強度(MOR)

JAS甲種1級の基準強度27.0/mm2以上が97%を占めました。

試験材料:スギ心持ち平角材(8断面)〔平均含水率約18%(全乾法)〕
規格:幅120㎜×梁背150~360㎜(30㎜ピッチ)×長さ 3.0~6.0m

中央集中荷重法

梁背の違いによる影響をみる!

現実に設計されるスパンを考慮し、中央集中荷重とたわみ量の関係を明らかにする実大材による試験は、ほとんど実施されていません。
そこで、断面寸法別に、実際の「間」を想定し、曲げ破壊試験に取り組みました。

Q

材面に割れの生じた木材の強度は大丈夫?

A

乾燥に伴い生じる材面(表層)割れは、実大材の曲げ性能など強度性能にほとんど影響を及ぼさないと考えらます。

※ただし、接合部位に割れが存在する場合は、接合方法・形状などを考慮し、十分な注意が必要です。

[高温乾燥によって生じた材面割れがスギ正角実大材の強度性能(曲げ・座屈・引張)に及ぼす影響]

Effects of Surface Checks Caused by High-temperature Drying on Mechanical Properties of Sugi Squared Lumber
大野ら:木材工業,64(5),216-220 (2009)

  • 試験体:人工乾燥を施したスギ心持ち正角材(柱)533本〔割無材264本、割有材269本(4面の割れ長さ計の平均値304±149㎝)〕
  • 規格:10.5㎝×10.5㎝×300㎝及び12.0㎝×12.0㎝×300㎝
  • 試験:3等分点4点荷重方式による破壊試験
  • 結果:曲げヤング係数、曲げ強度、座屈強度、引張ヤング係数、引張強度のいずれの性能においても、割無材と割有材の間に有意な差は認められなかった。また、割有材でも、割れ部位を起点とするような変形や破壊は起きなかった。
    結果として、材面割れにより強度低下が引き起こされることはほとんどないと考えられる。
[高温乾燥により生じた材面割れ深さがスギ平角実大材の強度性能(曲げ・せん断)に及ぼす影響]

Effects of Surface Check Depth caused by High-tempreture Drying on the Strength Property of a Sugi Beam
大野ら:木材工業,66(3),110-114 (2011)

  • 試験体:人工乾燥を施したスギ心持ち平角材(梁桁)245本〔割無材180本、割有材65本(4面の割れ長さ計の平均値223±187㎝、平均割れ深さ13±9mm)〕
  • 規格:幅12.0㎝×梁背15.0~36.0㎝(8断面:1寸ピッチ)×材長300~600㎝
  • 試験:3等分点4点荷重方式による破壊試験
  • 結果:材面割れが曲げ性能(曲げヤング係数、曲げ強度、曲げ仕事量、ヤンカ靱性係数)に及ぼす影響は認められなかった。
    また、割有材でも、割れ部位を起点とするような変形や破壊は起きなかった。
[割れ深さが平角材の強度性能に及ぼす影響]
  • 試験体:人工乾燥を施したスギ心持ち平角材(梁桁)57本(スリット加工材41本、CT材:スリットなし16本)
  • 規格:幅12.0㎝×梁背24.0㎝×材長400㎝
    4種のスリット加工〔材幅に対して15%(18㎜),30%(36㎜),50%(60㎜),70%(84㎜)の深さ〕を梁背方向の中立軸全長にわたり施した。
  • 試験:曲げ試験は3等分点4点荷重方式、せん断試験は逆対象4点荷重方式による破壊試験
  • 結果:曲げヤング係数は、CT材~スリット深さ70%間で非有意であったことから、割れ深さを問わず、大きな影響を受けないことが明らかとなった。しかしながら、曲げ強度は、スリット深さが材幅の50%を超えた場合、低下傾向を示すことが示唆された。
    また、せん断性能については、スリット深さ15%(18mm)ではCT材と非有意となったことから、材面割れ程度では大きな影響を受けないことが明らかとなった。ただし、スリット深さが30%を超えた場合、低下傾向を示すことが示唆された。

※本サイトのデータは「とちぎ材のすすめ/発行元:栃木県環境森林部林業振興課栃木県林業センター/発行年月日:平成24年3月」を元に作成されています。

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